猫は長く生きたら
特殊能力を得て
人の言葉を理解するばかりか
人の言葉を話す猫になるそうな。
そういう昔話を聞いたことがある。
とまあ….
そこまでいかなくて
うちの猫が
利口なのは
確かである。
特殊能力
…..不思議だ。
猫ドアは外から開けられないのに、
うちの猫、アルフィーは外から中に入ってこれる。
なぜ?
一体どうやって?
あるお休みの日、
げばはおうちの
ダイニングテーブルで
コンピューターに向かっていた。
この位置はちょうど
猫ドアがよく見渡せる位置である。
かちゃかちゃ仕事していると、
外から
アルフィーが帰ってきた。
しばらくカサカサドアを引っ掻いていた。
げばを見つけて、
開けてくれと催促している。
げばが知らん顔をしていると、
諦めたみたいで、
静かになった。
そうすると
なんと
猫ドアが外に開いた。
アルフィーは
自らの爪を立てて、
猫ドアを爪で引っ掛けて
ゆっくり引っ張っている。
そして
僅かにできた隙間に
自らの顔を突っ込んで
家の中に入ってきたのだ!
猫の飼い主の頭痛の種
普通、
猫を飼っていると
まず悩むのが
外猫の扱いである。
外猫とは
家の外を自由に出入りする猫である。
でも
そのために人間は
いつもドアを開ける
ドアマンにならなければならない。
だから
それが嫌な人は
日曜大工で
人間のドアに
小さな猫ドアをつける。
しかし
安い猫ドアだったら、
自分の飼い猫が外から帰ってくるように
よその猫や狐なども餌を求めて
勝手に入ってくるようになる。
だから
最近の猫ドアには
飼い猫の首輪に猫ドアの鍵をつけたりして
害獣の侵入を阻止しているのだ。
よって
そういった飼い主から見ると
今アルフィーがやってのけた、
ドアを引っ張って開ける行為は
全く驚くべき行為なのである。
アルフィー名誉の負傷
それからしばらくしたある日、
何気なく
アルフィーの顔を見たげばは
仰天した。
あごのあたりの毛が
血だらけになっていたのだ。
またよその猫とケンカしたのだろうか?
でもケンカによる怪我なら
まず
噛みつきやすい耳に血がついているはずだ。
原因不明の出血……
げばは獣医さんに彼を診断してもらった。
獣医さんは一通り診て、
こういった。
「ネズミか何かに噛まれたみたいです。
おそらく生きたネズミをくわえたまま
何かしてたのでしょうね。
注意をそらしているすきに
くわえていたネズミがあごをかんだんですよ。」
…….
なるほど
これで合点がいった。
彼はネズミを捕まえ、
いつものように
生きたまま家の中に連れ込もうとした。
しかし
猫ドアは簡単に開かない。
爪を立てて引っ張らないといけない。
ネズミをくわえたまま、
その作業を行なっていた彼の
一瞬の隙をついて
ネズミはアゴにかみついて
逃げようとしたのだ。
彼はこの事件の後、
決して獲物を
生捕にして
持って帰ることをしなくなった。
よって
家の中に
生きたネズミが
突然現れることはなくなった。
ついに!
家はマウスフリーになったのだ!
….げばの悲願が達成したのだった。