「コロナで被った社会的損失は莫大なものである」

メディアで報じられるさまざまな被害は実に深刻だった。

みんな大なり小なり損をしたり、我慢を強いられた経験をお持ちだろう。

かくゆうわたくしもささやかながら、手痛い目に遭わされた一人である。

これは小さな(私の)被害体験である。

コンサートのチケット

2019年の終わりか2020年の初めの頃だったように思う。

久石譲ワールドツアー、ジブリ映画シンフォニーコンサート、ロンドンで!

という記事をフェイスブックで見つけた。

日にちは2020年の9月19日。

9月は私の誕生月である。

あら素敵!

久しぶりにコンサートに行っちゃおうかしら!

素晴らしい誕生日になるわ!

さっそくジブリ好きの友人を誘って2枚のチケットを購入した。

このチケットは人気が高くて販売開始後、即完売

購入できた私ってラッキー!

とかはしゃいでいたのを覚えている。

その直後

コロナがものすごい勢いで全世界に広まったのである。

あの時の私は想像もしなかった。

イギリスでは3月にはロックダウンが始まり、

国民全員、外出を控えることになった。

劇場も封鎖された。

もちろんコンサートは中止である。

悔しいが仕方ない。

私は素直にコロナ対策国家総動員法を受け入れた。

それにともないチケットの日付けは自動的に、2021年8月に変更された。

最近のチケットは紙での郵送ではなく、

アプリを起動させて画面表示されるのだ。

久石さんも、まあ1年もすればコロナも収まると思っていたのだろう。

しかしである。

このコロナというやつは1年くらいでは収まらず、

またもや延期となったのだ!

私と友だちはひどく落胆した。

「まあコロナが収まらないから仕方ないよね。」

残念である。

あー残念!

こうしてコンサートはもう1年お預けになったのだ。

新しいコンサートの日付は2022年8月6日と発表された。

チケットの転売

「ええかげんにせい!」

度重なる延期の知らせに私は激怒しておった。

そしてすでに2年も延期にされたコンサートにだいぶ嫌気がさしていた。

一緒にチケットを買った友達も

「もうどうでもいい」と言い出す始末。

1度ならず2度もダメとなった今、

もうコンサート自体を速やかに中止にして

チケットの払い戻ししてほしい!

それが正直な気持ちだった。

よし

プレイガイドに連絡してチケットをキャンセルしてもらおう。

が、しかしである。

現在のチケット窓口は電話応対なしで、

すべてアプリで操作するのだ。

電話なら5分で済むところ

コンピューターの苦手なおばさん「げば」は

ああでもない

こうどもない

といろんなところを触って悪戦苦闘していた。

そしてだんだん腹が立ってきた。

しまいにはもうこのプレイガイドのアプリをみるだけで

嫌悪感が込み上げ、ひどく不機嫌になったのだ。

そしてやっとカスタマーサービスにたどり着き

「もうコンサートにはいかないので、チケットの払い戻しをしてほしい」

とメールした。

こう書くと簡単なようだが、

メールには何のコンサートのことか、詳細に説明しなければならない。

「あのですね、このコンサートは久石譲のジブリ映画シンフォニーコンサートで2020年9月19日のやつが延期になって2021年の8月になったんだけど、それがまた延期になって、今度は2022年にやると言うチケットなんですよ!」

もうこれだけで担当者は困惑しそうだ。

手がかりは購入チケットのレジストナンバーだ。

この番号は変わらない。

この番号で探せばチケットの略歴が現れて、

このおばさんが何をわめいているのかがわかるのだ。

担当者が返信してきた。

「よくわかりました。

しかしこのコンサートは「中止」ではなく「延期」です。

よって払い戻しはできないとコンピューターがいっています。」

げばは落胆する。

そして担当者が続けていうには、

「払い戻しはできませんがね、御社のアプリで別の方に転売をすることはできます。簡単ですよ。

その方法はですね•••••••••」

やれやれ、

御社のアプリとやらであんたが転売してくれんかね?

おばさんは心底そう思ったが、してくれないらしい。

こういうときコンピューターに弱い年寄りは担当者が示す手間賃を払い、

「全てお任せ!よろしくやっといて」となるのだ。

昨今の若者がITで大金を稼いでいるのも、なんでもない簡単な操作に年寄りがお金を払うからだ。

げばはまたプレイガイドのアプリと向き合い、なんとかチケットをマーケットに出品することに成功した。

それから30分後、

「あなたのチケットがあなたの言い値で売れましたよぅ!」

というメッセージが届いた。

さすがジブリ!

30分で売れるなんて大したものだ。

「売れたチケットの代金はコンサート終了後に支払われます。詐欺行為を防ぐためです。ご了承ください」

とメッセージがきた。

今度のコンサート日付は2022年8月6日。

やれやれ払い戻しは持ち越しである。

思いがけないトラブルは突然に

2022年。

コンサートの日が差し迫ったある日のこと、

プレイガイドから私に驚愕のメールが届いたのだ。

「ご機嫌いかがでしょうか?

大変申し訳ありませんがお知らせいたします。

不運にも

久石譲、本人がコロナにかかってしまいました。よって来英できなくなってしまったので、

まことに申し訳ないですが、コンサートを延期いたします。

このメールを読んだわたくしの顔を想像できるだろうか?

なーにがご機嫌いかがだぁ!

寝耳に水とはまさにこのこと!

まったく予想できない展開である。

こんなことってあるだろうか?!

私はプレイガイドに連絡して怒りのたけをぶつけるように言った。

「あのですね、チケットの払い戻しをしてほしいの!

このコンサートは久石譲のジブリ映画シンフォニーコンサートで2020年9月19日のやつが延期になって2021年の8月になったんだけど、それがまた延期になって、今度は2022年にやると言うチケットなんですよ!そしてあろうことに、この2022年の8月も、やつがコロナになってキャンセルになったのよおおお!」

その担当者はもうNoと言わなかった。

多分多くの人からクレームがあったのだろう。

「わかりました。払い戻しに応じましょう」と言ってくれたのだ!

私はほっーーーーとため息をついた。長かった戦いもやっと終わるのね。

担当者がかちゃかちゃ手続きするのを待っていると、

すまなそうな声で彼がこう言った。

「すみません。マダム、払い戻しはできません。」

「なに!」

私はキッとなって、担当者の青年を問い詰める。

「私がこのチケットのためにどんなにイライラしたかわかる!コロナがなんとかかんとか、システムがどうとかこうとかいわれて、わたし、すっごく怒ってんのよ!!」

怒気を含んだ英語で早口でまくし立てる、えらい剣幕のおばさん。

わたしは怒ったら急に英語がうまくなるとみんなが言ってた。

青年は困ってしまった。

「どうするんだ」といわれても

青年は冷静に説明した。

「チケットが通常通りお客様の名義なら払い戻しできるんですが、

このチケットは転売されているので、

転売のルールに沿って支払いが行われるのです。

転売のルールの支払いはコンサートが行われた後なのです。

コンサートが中止ならお支払いできますが、

延期扱いならできないんですよ。」

久石譲に文句を言う

久石譲がコロナになってコンサートが延期になり3ヶ月たった。

11月になってもプレイガイドから次のコンサート日の発表はない。

やきもきした私はついに久石譲にコメントを書いた。

”初めまして。私はXXXXXと言います。2020年9月のロンドン公演のチケットを買いました。それがコロナで2021年の8月に延期になり、それも再度延期になり、2022年の8月にリスケジュールされました。しかしその日は自身の都合が悪く、行かれないので、払い戻しをお願いしたところ、「これはキャンセルではなく延期だから払い戻しはできない」と言われて、「他者に売りに出すしかない」と言われました。そのプレイガイドの規則に従い、チケットを売りました。支払いはコンサートの後とのこと。支払いをまっていると、譲さんのコロナ感染のため突然コンサートは中止になりました。つまり支払いも中止されたのです。度重なる中止で、ストレスが溜まりました。お金も返ってきません。コンサートはいまだに延期ですか?でも3年間の延期ってファンを馬鹿にしていませんか?はっきりいって大変怒っています。チケットは£120くらいだから譲さんにとっては微々たるものでしょうけど、ジブリが大好きなイギリスのファンはすっごくガッカリしてるし(ジブリ)の対応に怒っています。こんな文句を初対面で書いてすみません。”

年が明けた1月、久石譲からプレイガイドを通じてみんなにメッセージが送られた。

Message from Joe:
Hello everyone, I’m very sorry that I couldn’t come over in September. I got infected with corona.

I’m very pleased to say we have agreed new dates for September 2023, so let’s meet at that time. I’m looking forward to seeing you.

Thank you!
Joe

このメッセージとともに

コンサートが2023年9月22日にリスケジュールされたと発表があった。

2020年のコンサート開始予定からじつに4年目、スケジュール変更は3度である。

このようにコロナパンデミックのために社会が踊らされ、全世界の人々は残らず影響を受けたのだ。

2023年9月22日。延期に延期を重ねた久石譲のコンサートは無事開催され、

げばに払い戻しのお金が入金された。

入金を確認したげばが一番に行ったこと。

それは

いらいら嫌悪の源、

にっくきプレイガイドのアプリを携帯の画面から消し去ることだった。

アプリが永久になくなったのをみて、

おばさんの心に安らかな日常が戻ったのだった。

投稿者 geba-

21年の国際結婚にピリオドを打ち、今現在シングルアゲインしています。この生活は思った以上に快適で、NHSの病院で働きながら、漫才みたいな生活を楽しんでいます。女子トーク、イギリス生活、そしてシリアスな人生観を書いていきます。

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