このかたに仮名は必要ないのです。
同居人、アルフィーをご紹介します。
我が家族は、げば、りんごちゃん、みかんちゃんと女ばかりです。
アルフィーは唯一の男性です。
彼には二つの顔があります。
りんごちゃん、みかんちゃんに徹底的に可愛がられ、非常におしゃべりで甘えん坊です。
可愛い天使の顔です。
話しかけると答えます。
りんごちゃん: ハローアルフィー
アルフィー: みゃ
みかんちゃん: お腹空いた?
アルフィー: みゃみゃ
という感じで(本当です)
そしてもう一つの顔は
野生に帰る夜のひととき、
残忍な殺し屋の顔になります。
彼は曲がり角の影で獲物を何時間でも待ちます。ネズミとか、モグラとか。
狙った獲物は必ず彼に捕まり、生きたまま彼の縄張りへと連れて行かれ、
一気に殺さず、そこでなぶり殺されるのです。さながらサド侯爵のように。
あの可愛い顔は世を欺く仮の姿。
困るのが、獲物を連れてくる彼の縄張りとは「家」だということ。
つまり家の中でバトルが繰り広げられることなのです。
みかんちゃんがあるバトルを目撃しました。
場所は玄関口。
アルフィー選手とネズミ選手が対自してます。
双方全く動きません。
ネズミ選手突然猛スピードで動いたあ!
アルフィー選手素早くジャンプう!
おっとネズミ選手叩かれたあ!ネズミ選手、血がでております!
アルフィー選手ネズミ選手をクチにくわえて空中に放り投げた。
技が決まった!
とその瞬間、
ネズミ選手が消えてしまいました。
ネズミ選手、ワープを使って瞬間移動してしまったのか?
アルフィー選手しばらくあちこち探しましたが、諦めた模様です。
ということで試合終了。
次の朝、みかんちゃんはトクトクと昨夜のバトルを解説しました。
昨夜のネズミどこに行ったのかな?
りんごちゃん: そうね、どこに行ったのかね。
とか言ってりんごちゃんはおめかししてお出かけの準備をしています。
お気に入りのブーツを履いた瞬間
りんごちゃん: ぎゃあああああああああああああ
この世のものとは思えない叫び声が。
なんと、
あのネズミ選手
傷ついたままりんごちゃんのブーツの中に落下し、
そこで息絶えていました。
生まれて初めてネズミの死骸を、
ストッキングのもろ足で
踏みつけてしまった
りんごちゃんのショック!
それからしばらく
りんごちゃんはアルフィーと口を聞きませんでした。