日本で大人気の

「愛の不時着」

ここ英国でも

少しずつ

韓流ドラマを見る人が増えてきた。

「愛の不時着」(簡単な)あらすじ

パラグライダー中に、

思わぬ事故に巻き込まれ、

北朝鮮に不時着してしまった韓国の財閥令嬢。

堅物の中隊長に発見される。

普通なら

南朝鮮の女は

北朝鮮で

発見された時点で、

スパイとみなされ、

射殺される。

罪のない彼女を、

何とか無事に帰国させようと

中隊長は試みるのだ。

彼の行った行為は

何でもない普通の人間の振る舞いである。

でも

それを行ったら、

その国では罪になるのだ。

危険で、ハラハラドキドキさせるストーリーに

随所に織り込まれる、胸キュンシーンや韓国独特のユーモア。

夢中になるストーリーだが、

これはあくまでもオハナシである。

だから (当たり前だが)

恋愛を夢見る女性はこのドラマを

自らのリアルな恋愛のお手本にしてはいけない。

美しいロマンス

恋愛を禁じられたもの同士の悲恋は

昔も今も永遠に美しいドラマである。

シェークスピアはすごい!

その元祖ともいうべき

ロミオとジュリエットを書いたのだから。

しかし結論から言うと、

悲恋の恋は

激しいけれど短命である。

ドラマは

いつも

男女が試練を乗り越えて

結ばれて

ジ・エンドである。

しかし

本物の人生は

そこから始まるのだ。

そして

多くのドラマは

そのカップルの

「その後」を語らない。

なぜなら、

そのストーリー通りに生きる

リアルな男女のほとんどが

幸福にならないからだ。

悲恋後の結婚?(ネタバレ注意)

このドラマの最後に

北朝鮮の中隊長、リジョンヒョクと

韓国の財閥令嬢であり、

セリズチョイスの代表である、ユンセリが

中立国であるスイスで

共にピクニックを楽しむシーンが出てくる。

彼はピアニストとして、

彼女は文化事業の後援者として

再会して、2週間だけの逢瀬を楽しむのだ。

ハッピーエンドのように見えるが、

現実の話をすると、

ふたりはこの恋のハッピーエンド、

つまり、「結婚」は絶対できないのだ。

北朝鮮人は

海外に出て

そのまま帰国しなかった場合、

亡命とみなされ、

残った家族は殺されるか

強制収容所に行かされる。

父が朝鮮人民軍総政治局長であるリジョンヒョク。

彼が恋人、ユンセリと結婚して共に家庭を作るという事は、

家族を見殺しにすることを意味する。

だから、ユンセリは絶対、「妻」にはなれない。

彼と別れないということは、

「愛人」という立場を貫く

ということになる。

そしてお互いが会うのは

一年に一度だけ。

子供ができると

ユンセリはシングルマザーとして生きることになる。

もし

自分の娘がそんな人生を選ぶとしたら

親としてどう思うだろうか?

大抵の親は大反対するだろうし、

そうするべきではないか?

愛の劣化

それでも構わない。

だって「彼は運命の人だから」と

ユンセリが頑固にこの「愛人生活」を続けていった場合を考えてみよう。

スイスで過ごす甘い生活。

リジョンヒョクのピアニストとしての後援。

そして彼の生活費。

その費用は(多分)全て彼女持ちになるであろう。

太っ腹の彼女は

惜しげもなく払うだろう。

しかし

この金銭感覚がリジョンヒョクを

知らず知らずのうちに

ダメな男にしてしまう。

働かなくても

養ってもらえる。

そこから怠惰な心が生まれ、

自分の芸術性は損なわれていく。

ピアニストとして

認められなくなると

そこから

ストレスが生まれ、

劣等感にさいなまされ、

それを隠すために、

傲慢になる。

ユンセリの経済的援助は

彼の誠実ないい面を

少しずつ侵食していく気がしてならない。

それを思うと、

やっぱり

リジョンヒョクは

北朝鮮で

親の決めた婚約者と

結婚し、子供を作り、

淡々とした毎日を送った方が

幸せなだったのではないかと思う。

ユンセリも

「運命の人」ではないけれど、

それなりに暖かい人は見つかるはずだ。

本当の幸せというものは

激しい恋愛はない代わりに

当たり前の日常を

当たり前にこなしている中にある。

ロマンチックコメディのようなドラマがない人生は

味気ないように見えて、

実はとても幸福なことなのである。

投稿者 geba-

21年の国際結婚にピリオドを打ち、今現在シングルアゲインしています。この生活は思った以上に快適で、NHSの病院で働きながら、漫才みたいな生活を楽しんでいます。女子トーク、イギリス生活、そしてシリアスな人生観を書いていきます。

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