何か

思い通りにいかなくて

相手に激しい怒りをぶつけるのは

ただの自己満足である。

怒りをぶつけたら

状況がどう変わるか

それを知りながら

自分の怒りを

コントロールできる人は

勝者になれる。

警察介入

激しくドアを叩く音がした。

「ポリスだ。」

「グッドイブニング!ドアを開けてくれ」

子供がドアを開けると

5人のポリスが入ってきた。

「なんてことを!警察を呼んだのか?」

夫ジョージはいちごちゃんを振り返る。

いちごちゃんは冷たい視線で彼をみただけで

何も答えなかった。

「なんとか言ったらどうだ!」

ジョージは彼女の肩に手を掛ける。

「やめろ!」

1人のポリスがその手を払った。

「別々に話を聞こう。

君たち3人は彼の方へ、

私たち2人は彼女と話す。

夫は3人のポリスとキッチンへ向かった。

いちごちゃんは事の次第をポリスに説明したあと、

これ以上夫と直に話をしたくない。

これからの話し合いは弁護士を通して話す。

と付け加えた。

「つまり、

彼と話をしたくないんですね。」

「…..はい。

私は夫を信じて、

彼のいうがまま、

書類にサインして、

危うく人生を台無しにするところでした。

残念ですが、

もう彼を信じることはできません。

この離婚の手続きは

これから

すべて弁護士を通します。

彼とはいっさい話し合いは致しません。」

いちごちゃんははっきりと言った。

「ですから

彼には速やかに

お引き取り願いたいのです。」

警察を交えた話し合い

いちごちゃんと

2人のポリスがキッチンに行くと

ジョージといたポリス3人が

いっせいに

険しい顔を向ける。

ジョージが

いったいどんな話をしたか

想像できる顔である。

ジョージはあらゆる汚い言葉を使って

いちごちゃんを罵った。

いちごちゃんは

終始黙って冷たい顔を彼に向けていた。

彼女が言ったのは一言。

「あなたとはこれから

直に話し合いはいたしません。

私への用件はすべて

弁護士を通してください。」

「一度サインして納得したものを

勝手にくつがえしていいと思ってるのか!」

夫ジョージは怒り狂ってそう言い続けた。

いちごちゃんは何も答えなかった。

なくなった車のキー

「なあ

奥さんが話し合いに応じないと言ってるんだ。

これ以上、ここにいるのは

無意味だろう。

話し合いは

日を改めてやるしかないんじゃないか。」

あるポリスがジョージに話した。

そしていちごちゃんにこういった。

「あなたも、

知っているだろうが、

ここは夫、ジョージのうちでもある。

彼はいつでもここに来ることができる。

たとえ、一緒に暮らしてなくても、

彼には

自由に家に入れる権利がある。

わかるね。

たとえば、

鍵を勝手に変えるとか、

しちゃダメだよ。」

「ただし、Domestic Violence 

(家庭内暴力)

に発展したら話は別だ。

その時は

またポリスを呼ぶように」

「今夜は旦那さんを我々が

引き取っておいとまするよ。」

ポリスは口々に冗談を言い合い、

ジョージを連れて家を出て行った。

いちごちゃんはやっと

ホッとしてリビングに戻った。

「マミー

お友達が帰るって、

彼女をお家まで送ってくれない?」

と子供の声がする。

「はあーい、わかったわ。」

いちごちゃんは

車のキーを取りに

キッチンに入った。

「あれ?」

おかしい?

車のキーは確かここにひっかけてあったはずなのに?

どこにもなかった。

その車のキーは大きなキーホルダーがついていたので

すぐに見つかるはずなのに。

夫ジョージはポリスとキッチンで

話をしていた。

でて行ったのもキッチンの勝手口からだった。

まさか!

彼は怒りに任せて

彼女の車のキーを奪っていったのである。

投稿者 geba-

21年の国際結婚にピリオドを打ち、今現在シングルアゲインしています。この生活は思った以上に快適で、NHSの病院で働きながら、漫才みたいな生活を楽しんでいます。女子トーク、イギリス生活、そしてシリアスな人生観を書いていきます。

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