入院患者が突然発作を起こしたり、

事故が起こったりするのは

何時でもありうることだが、

その多くは

ナースやCAが

ほっと気を緩める時間帯に

……..突然やってくる。

おばあさんの発作

長いこと入院していた

おばあさん。

少しもうろくしてるけど、

優しいおばあさんである。

「週明けには退院するのよ。」

病室で仲良しになった他のおばあさんと談笑していた。

手のかからない患者だった。

ナースもCAも

元気になったおばあさんを

さほど心配していない。

その日は土曜日。

週末というのは

リハビリの職員も、

栄養士も出勤しないので

病棟は静かである。

夜勤のシフトだったげばは

時計を見る。

朝、4時。

まだ患者たちは眠っている。

その時、

見回りに行ったナースが

おばあさんの異変に気づいた。

病棟は突然慌ただしくなる。

素早い応急処置を施し、

すぐに彼女は

大きな救急病院に搬送された。

だが…..

彼女がげばの病院に帰ってくることは

もうなかった。

一命は取り留めたものの、

彼女のケアは「End Of Life ケア」

に変わったと

後で聞かされた。

「End Of Life ケア」とは

その名の通り、

命が終わるまでのケアということである。

せっかく退院して

おうちに帰るのを楽しみにしてたのに。

その矢先に、

こんな事故が起こるなんて!

……どんなに無念だっただろうか。

こんな日に事故は起こる

週末、いつもより忙しくない日、

または

何か楽しいことがあったり、

なんとなく気分がいい日。

いわゆる

調子に乗っている時

こういう日は

けっこう危ない。

自分が悪いわけではないが、

気分が高揚している時は、

知らず知らずのうちに

心にすきができる。

 心にすきができているかどうかを知るには

自分が傲慢になっているかどうかを

見ればわかる

もっと簡単にいえば

他人をさげすむ心があれば

傲慢になっている。

とげばは思う。

柿おばさまの好きな言葉

げばのエッセイによく出てくる柿おばさまが

げばを叱るとき

こういうことを言っている。

Eight Windsに

侵されたらダメよ!

Eight Windsとは外から受ける評価や自身の感情のことである。

簡単にいうと、

利益 

勢力が衰える

名誉が傷つけられる

名声

称賛

中傷

苦しみ

楽しみ

何かあっても落ち込まず、

上手くいってる時でも気を引き締めてということだ。

昔の人が言ってた

「勝って兜の緒をしめよ」

ということだろう。

あるマネージャーの振る舞い

げばがケアセンターで働いていた時の話である。

その日は早く始める仕事があり、

いつもより20分ほど早く出社した。

出勤簿を記入していると

マネージャーが到着した。

みると

彼女はすぐに建物の中に入らず

ガラスドアの向こうで目を閉じ、

静かに祈っていた。

そしてドアを押して入ってきた。

げばが

「何をされてたんですか?」

と聞くと、

彼女は

「あら、見られちゃったのね。」

とはにかんだ。

「毎朝、祈るようにしてるのよ。

どうか今日も、みんなが無事でありますようにって」

………….

なんというマネージャーか!

彼女はお金のために働く

ただの雇われマネージャー

ではない。

心から患者を職員を守ろうとしている。

あっぱれな女性である。

医療関係で働く人はこうあるべきだ!

と、げばは感動した。

投稿者 geba-

21年の国際結婚にピリオドを打ち、今現在シングルアゲインしています。この生活は思った以上に快適で、NHSの病院で働きながら、漫才みたいな生活を楽しんでいます。女子トーク、イギリス生活、そしてシリアスな人生観を書いていきます。

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