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ペットの死から学ぶこと

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いつも通りの日曜日の早朝。

夜遊びから帰ってこない猫の餌を準備して、

げばは駐車場に向かった。

「Meow」

隣の生垣からアルフィーの声がした。

やれやれ、やっと帰ってきたんだな。

げばは気にせず、そのまま仕事場に向かった。

突然のメッセージ

病院の朝は忙しい。

すべての患者の身支度を済ませて、

朝の休憩に入った。

携帯を見ると、見知らぬところからメッセージが入っていた。

間違い電話だな。

げばは最初気に留めなかった。

しかし、電話の留守電を聞いて、

顔色が変わった。

「オタクの猫アルフィーが交通事故でうちのVetに収容されています。すぐにご連絡ください。」

メッセージにはそのVetの居場所も番号も残されてなかった。

しかもその電話はNo Caller ID。つまり発信者の番号も伏せられているのだ。

心臓の鼓動が早くなり、さっと血の気が引いた。

休憩時間中、そのVetの所在をネットで探し続け、やっとのことで見つけた。

休憩時間はとっくに終わってしまったが、

げばはシスターに断って電話を続けた。

聞くと、アルフィーは車にはねられ、隣人に抱き抱えられ、そのVetに担ぎ込まれたらしい。

日曜日ということもあり、救急のVetしか開いてなかったのだ。

あまりに突然のことで、げばは動転した。

げばはシスターに早退願いをだしたが、すぐには許しが出ない。

とにかく今は仕事に集中しないと。

自分を何度も落ち着かせて朝の仕事を終わらせた。

シスターが近づいてきて、早退の許可がやっと降りた。

すぐに車でそのVetに向かった。

アルフィーとの対面

そのVetは田舎道の森の中にあった。

体が小刻みに震えていた。

受付の女性にアルフィーの飼い主だと名乗ると、

彼女は「獣医は今べつの患者を見てるので少しお待ちください。」

といってきた。

そばのベンチに腰掛ける。

涙が自然とあふれてきた。

ここに来るまで様々のことを考えていた。

猫が10歳になった時、保険を解約してたこと。

事故のリカバリーってどれくらいの期間がかかるんだろう。

その間、彼は起きれない体でどうやってトイレするのか

誰かがいつも一緒にいないといけない

しかし自分のシフトは長時間だ。

自分には世話できない。

でも彼を1人にできない。

そんなことを思っていたら、

「お待たせしました。私が担当の獣医です。」

若い男の獣医が現れた。

「アルフィーはこちらですよ。」

通された部屋には白猫が毛布の上で横たわっていた。

「アルフィー!」

「オーマイガット。」

駆け寄って背中をそっと撫でる。

彼はげばを見上げたが、

目の焦点は合ってなかった。

舌が口から少しはみ出ていた。

「腰か背骨を強く打ってます。彼は動けません。」

「痛み止めを打っておきましたから、少し楽になってるはずです。」

「レントゲン、スキャンなど検査をしてみないと詳しいことは分かりません。

目の焦点があってない、そして舌が出ているので別の病気があるかもしれません。」

若い獣医はそれでお値段は….と言い、コンピューターに向かって調べ始めた。

「ざっと£900です。(14万5千円)これは検査だけのお値段で、治療は別にかかります。」

検査だけで£900?

別料金の治療代を払ったら、げばのお給料はそれだけでなくなってしまう。

それに治療できたとしても、

彼が元気になるまで、つきっきりの看病が必要になる。

また内臓器官の病気も疑われている。

当然、彼は外にも出られない…….

この状態は、

猫にとっても耐え難い未来図である。

そこまで分析したげばは弱々しくいった。

「獣医さん、私は彼をこれ以上ケアすることはできません。」

「……安楽死を希望します。」

つらい決断

「安楽死」と言った時、

獣医はさほど驚かなかった。

多分よくあるパターンなんだろう。

「それでは今から注射を打ちましょうか?

足に打って、そのままスリープします。」

げばは驚いた。

「今から!?」

「いや、少し待ってください。」

「娘と、娘と話したいのです。きっと彼女は彼を看取りたいはずですから。」

げばは震える指で娘のりんごちゃんに電話した。

ロンドンにいると思ってたのに、

なんと彼女はすぐ近くに帰っていた!

聞くと、父親の誕生日のお祝いに、彼と食事をしていたのだ。

「まだ生きれる猫を安楽死させるなんて、どういうこと!?」

りんごちゃんの叱責を予想していた。

しかし、意外にもりんごちゃんは

げばの意見に同意した。

猫の面倒を見るのは飼い主の責任、それができないのなら

自分で責任を取る(安楽死させる)のは仕方のないこと。

りんごちゃんは「マミー大丈夫?」と言ってくれた。

「大丈夫じゃない。でも、うん、なんとかするよ。」

りんごちゃんは「ダッドの用事が終わったら、すぐ駆けつけるから。」

げばはうんうんとうなづいて涙ぐんでしまった。

受付に戻ったげばは、

「娘と話しました。Putting down (安楽死)を行なってください。」

受付嬢は「分かりました。では書類をお持ちします。そこにサインをしてくださいね。」

彼女は書類をげばに渡し、簡単な質問をした。

「あの、ひとつお願いがあるのですが、」

「はい、なんでしょう?」

「注射を打つ前に、アルフィーの写真を撮りたいのです。」

「分かりました。いいですよ。私がいって撮ってきますね。」

「後、遺灰はどうされますか?」

げばは「いりません。」と答えた。

「動物はみんな一緒に焼かれるだろうから、

その遺灰が誰のか本当はわからないのよ。」と友人が言っていたのを思い出したからだ。

すべての手続きを終えて、

げばはすぐに建物を出て、車を走らせた。

アルフィーが安楽死されていると思うと、

いてもたってもいられなかったからだ。

今思うと、何て自分勝手だったんだろうと思う。

アルフィーは最後、私に看取って欲しかったんじゃないか?

あとで後悔したが、もうどうにもならない。

最後のアルフィーの写真は

安楽死寸前の猫とは思えないほど

健康的にみえ、可愛いかった。

猫なし生活のスタート

翌日、

げばはアルフィーの食器やらを片付け、

部屋中を掃除して、ソファーカバー、ベッドカバーを洗濯した。

アルフィーの白い毛が残っているのを見ると

なんともいえない悲しい気持ちに襲われるからだ。

遺品なんてないけど、キャットフードを寄付したり、

Vet でもらったお薬(未使用)なんかを返しに行ったりした。

げばの一人暮らしを知る友人はとても心配してくれ、

いっしょにお散歩したり、食事に招待したりしてくれた。

あと、アルフィーが事故にあった朝、

親切に救急Vetに彼を運んでくれた隣人も訪ねてきてくれた。

彼女によると、アルフィーは近所でも評判の猫で、大変愛されていたらしい。

アルフィーが近所で有名猫だったおかげで、私が飼い主であることを知ったらしい。

行き倒れの傷ついた他人の猫を車で病院に運ぶなんて、

なんていい人だろう。

心ばかりのお礼に白い蘭の花を贈った。とても喜んでくれた。

こうやって、昼間はなんだかんだと忙しくして

気を紛らわしていたが、

夜になって静かになるといけない。

アルフィーが今にもキャットドアから帰ってくる気がするのだ。

そんなはずないのに。

振り向くといつものようにミィヤオって鳴きながらご飯をねだっているような。

やばいなと思いながら、布団をかぶった。

ペットとして生きた友人

最近、げばはサウナに通い始めた。

頭がクリアーになり、極上のリラックス感が味わえるからだ。

アルフィーが亡くなって2日めの今日、

久しぶりにサウナに行ってきた。

外のベランダのデッキチェアから親子連れがブランコを楽しんでいるのが見える。

げばは魂は永遠に続くという理論を信じているのだが、

今ブランコに乗って遊んでいる3歳くらいの幼児は、もしかしたら、

前世では、ブランコを押している母親の、ひいお爺さんだったかもしれない。

ひいお爺さんは、生まれてきたひ孫(現母親)と対面して、彼女を抱っこしていた。

ひいお爺さんが亡くなって、この世にもう一度生まれ出る時、

彼はあえて、ひ孫の子供として生まれてきたのだ。

そんなことを考えていると、

アルフィーとげばが出会ったのも、何か見えない縁があったように思えてくる。

アルフィーと暮らした頃は、げばの人生は大変な変換期だった。

「別居」「離婚」「娘の旅立ち」「娘の結婚」

入れ替わり立ち替わり家族のメンバーの誰かがいなくなっていった。

その中で最後までげばと一緒にいてくれたのが、猫のアルフィーだった。

ある人が、犬や猫などのペットは

ペットとしての使命を持って、

あなたのペットになったのよ。

だから亡くなる時は、

彼らがペットとしての使命を終えた時なの。

と言っていた。

げばも独り立ちして、最近、やっと生活も落ち着いてきたのだ。

「やれやれ、これでオイラがいなくてもおまえ大丈夫だよな!」

「オイラ、これで使命終えたから、まあ、そろそろ、この老いぼれた肉体とおさらばして、

フレッシュな肉体に生まれ変わるぜよ。」

「……ということで、また逢おうぜ」

「Meow!」

とアルフィーはカッコつけてるのかもしれない。

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