🎵 なんにもない なんにもない まったくなんにもない。

生まれた 生まれた 何が生まれた。

星がひとつ 暗い宇宙に 生まれた。🎶

1970年代に放送されたアニメ、はじめ人間ギャートルズのエンディング、「やつらの足音のバラード」である。

困った。

このフレーズが頭から離れない。

マサイマラはまさにそんなところだった。

高いビルディングもない。

群衆もない。

まったくなんにもない。

なんにもない大地の感動

朝5時45分。

げばはレセプションにやってきた。外はまだ真っ暗だった。上を見るとすばらしい星空だった。昨日は少し雨が降ってたので、どうなるかと思ったが晴れるみたいで本当によかった。

ケニア旅行ではオプションのバルーンサファリができる。規定のサファリを空から体験するというものである。

予算ギリギリのこの旅行にこれ以上贅沢できない。と思っていたのだが、出発寸前でこれを予約したのだ。考えてみるとサファリ体験なんて、おそらくこれが最後。これは忘れられない思い出になるはずだ。お金を惜しんでやらないでいると後で後悔する。それならばお金がかかっても体験してしまうほうが絶対得である。

ホテルのスタッフがコーヒーを持ってきてくれた。コーヒーを飲みながら 今回の搭乗同意書を読み返していた。つまりバルーンサファリ中に発生した事故、損害に対して会社は責任を追いませんよぉ。なんかあったら自己負担で支払ってくださぁい。という書類である。

私自身もいろんな場面を想定して準備してきた。まずバルーンサファリ中に謝って携帯を落としてしまったら?その時点でこの旅はアウトである。携帯をなくすというのは写真がとれない。人と連絡が取れないというだけでなく、ありとあらゆる情報がぱあになるのだ。そのため不恰好だが長いストラップ付きの携帯ケースを買って首にかけるようにした。そうすれば手が滑っても携帯が落下することは絶対にない。

やがてバルーンサファリの添乗員さんが迎えにきた。客は私を含めた8人。ジープが夜空の大地を走り始めた。搭乗場所までドライブすること1時間。朝日が登り始めた空はことの他美しい。肌寒い空の下、至る所で熱気球が膨らんでいた。壮大な大地からの朝焼けと熱気球の風景を、みんなは感動をもって写真に収めたり、ビデオに撮ったりしていた。

前も、後ろも、右も、左も、なにもない。ただ大地が広がっていた。360度のパノラマ全てに遮るものがない世界。日が登り、生きるための活動をして、そのうち日が沈み休息する。この地球に生を受け、病で身体が弱ったり、老いて生の終わりに近づいたら、自然と死が訪れるのである。この当たり前の営み以上に大事なものがあるだろうか?このサバンナはそういう生きとし生けるものの原点がある。人間関係の悩みとか経済苦なんてのはこの大自然の中ではちっぽけなものなのだろう。

バルーンサファリの醍醐味は決して近寄れない野生動物たちの生の営みをみられることである。

ヌーの大移動風景やチーターが獲物を狩るところとか。

しかしもちろん、そんな風景に出会えるなんて保証はない。こればかりは運任せである。

わたしのバルーンサファリは残念ながらそんな貴重なシーンには出あわなかった。

しかし、インパルスや像、カバ、バッファローなどをみられてそれなりに楽しかった。

バルーンが地上に帰ると、一緒に搭乗した人たちと記念撮影があった。そして各グループごとにシャンパンブレックファーストが用意された。私と一緒にバスケットに乗った同じグループの女性たちはドバイからきた方々で、その中のひとりはCAで世界中を旅されてきたらしい。彼女たちが話す世界の国々の話は大変面白かった。

そのなかのひとりが「あなたひとりなの?結婚してないの?彼はいないの?」と聞いてきた。「結婚?一回結婚してたわよ。でも離婚したの。彼?男たちのベビーシッターはもうしたくないのよね」と答えたら、全員両手をあげて賛成してくれた。そこから彼女たちとの女子トークが始まった。

これがシャンパンブレックファーストでよかった。シャンパンディナーだったらぜったいもう一本シャンパンを開けてただろう。女子トークは世界共通エンドレスである。

投稿者 geba-

21年の国際結婚にピリオドを打ち、今現在シングルアゲインしています。この生活は思った以上に快適で、NHSの病院で働きながら、漫才みたいな生活を楽しんでいます。女子トーク、イギリス生活、そしてシリアスな人生観を書いていきます。

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